障がいを持つ子のための家族信託の活用

1 現状(親なき後問題)

厚生労働省の統計によりますと、国民のおよそ6.7%の方が何らかの障がいを有していると言われています。

そして、障がいを持ったお子様などがいらっしゃる場合、ご両親が元気なうちは自らがサポートすることができるものの、ご両親などの支える立場の人たちが高齢になり障がいを持ったお子様などのサポートが十分にできなくなったりすることがあります。また、その方々が亡くなられたあとにどのように障がいを持った方をサポートしていくのかについて困ってしまう事例などが増えてきているとされています。

このような問題を「親なき後問題」といったりします。

そこで、元気なうちに色々と対策をされている方も多くいらっしゃると思いますが、上記のような親なき後問題には家族信託を使うことができるので、紹介したいと思います。

2 家族信託による手法

(1)Xさんの希望

例えば、Xさん75歳、妻70歳、障がいのある一人娘35歳という家族の場合を考えてみます。Xさんは自らが元気なうちは良いが、将来の娘の生活をしっかりとサポートできる仕組みを作りたいと考えています。

また、Xさんは、自らが亡くなったあとは妻に、妻が亡くなったあとは障がいのある一人娘に財産を渡したいと考えており、その娘が亡くなったあとには、お世話になった障害者施設へという希望を持っています

(2)従来の手法の問題点

これまでであれば、障がいを持ったお子さんに成年後見人を付けたり、遺言を使ったりする方法がありました。

しかし、これらの手法では、上記の想いを叶えることが難しいという問題がありました。例えば、Xさんが亡くなって、その後に妻、長女の順に亡くなったとき、長女のところの財産は国庫に帰属することとなり、施設への寄付はできませんでした。

(3)家族信託による場合

ところが、家族信託を使うと、これらの想いを叶えることができる場合があります。例えば、信頼できる親戚(ここではAとします)に対し、Xさんが自宅および金銭を信託し、自らが元気なうちは従来どおりその自宅、金銭は自らのために使いつつ、自らが死亡したら、その自宅、金銭を妻に、妻が死亡したら長女に、長女が死亡したらお世話になった施設へ寄付する、ということを、XとAの間で信託契約をすることで、Xさんの想いを叶えることが可能です。

【信託スキーム(一例)】

委託者:X

受託者:親族A

受益者:①X、②妻、③長女

信託財産:自宅および現金

残余財産の帰属先:障害者施設

 

上記はあくまで一例ですが、家族信託を使うことで、親なき後問題を解決することができる場合があります。

当協会では無料相談も随時行っておりますので、なんなりとお尋ねください。

〇広島市での無料相談の日程

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