亡き夫から相続した配偶者名義の自宅

夫がお亡くなりになり、ご自宅を相続した配偶者である奥様のケースです。

 

一人住まいとなり、1年後の3回忌法要が済めば、娘との同居か地元の高齢者施設への入居を検討しています。自宅は思い出もありますが、子供たちはそれぞれ独立して家も持っているので、タイミングを見て売却をしたいのですが、最近物忘れが多くなり認知症となってしまった後の不動産の売却について、対策が必要です。

このようなケースの方は、大変多くおられます。

この場合、実際に自宅の売却をしようと思っても、所有名義人である奥様が認知症と診断され、法律行為をする能力が無いと判断されると不動産の売却はご本人ではできなくなってしまいます。

これまでは、後見制度を利用するしかなかったのですが、被後見人となられた方に預貯金などがあり、生活や施設費用などに売却した費用を充てる必要がない場合、自宅の売却許可を裁判所は簡単には認めてくれません。

なぜなら成年後見制度というのは被後見人となられた方の財産を守り、たとえどんな状態であろうが『自宅に帰りたい。』と本人が思った時に帰れる家を守ってあげることを後見人としてサポートする制度だからです。

実際にご本人が元気な時に売却を望んでいたとしても、後見制度ではスムーズに進めることは難しいのです。

 

そこで、今回のように自宅を売却したいという希望がある場合には、家族信託の活用検討をご提案しています。

家族信託という制度は、家族に希望を伝え、処分権限を与える制度で、ご本人が認知症となられても、自宅を売却する権限は受託者であるお子さんなどが持っていますので、スムーズな対応が可能となってきます。

現在、日本中に処分できずに困っている多くの空き家の中には、これらの対策が遅れてしまったために、管理できない状態の空き家となってしまったものも多くあります。

家族のこれからを、家族でしっかりと話し合う機会を作り、安心を確保していきましょう。